はじめに
今年の3月、楽しみに計画していた台湾旅行を取りやめました。
パートナーの体調や心の波に寄り添う中で、今は飛行機に乗って遠くへ出かけるタイミングではないと判断したからです。
今年で60歳、還暦を迎えた僕が痛切に実感していることがあります。
「定年を迎えて、時間ができたらやろう」という約束は、思っている以上に危ういものです。
50代、60代の暮らしには、親の介護やパートナーの健康など、自分ではコントロールできない出来事が突然やってきます。
だからこそ僕は、余白を「いつかできるもの」ではなく、「今、無理やりにでも30%こじ開けておくもの」だと考えるようになりました。
大きな旅が無理なら、半日でもいい。デパ地下で季節の和菓子をひとつ買うだけでもいいのです。
今日は、僕がやりたいことを先送りしないと心に決めた理由を、等身大の体験とともにお届けします。
1. 台湾旅行を取りやめて気づいたこと
■ 手放したチケットと、目の前の現実
楽しみにしていた台湾行きの予定を白紙に戻したとき、手元に残ったのは少しの寂しさと、それ以上に「ああ、これが僕たちの世代の現実なんだ」という静かな納得でした。
今日の午後も職場の休みをいただき、パートナーの病院受診に付き添う予定です。
先の見えない体調の波にパートナーがふと心を沈ませる姿を隣で見つめていると、胸が締め付けられます。
誰だって心身の自由がきかなくなれば落ち込むものですし、それは人間としてごく自然な反応です。
悲しんで立ち止まっていても、時計の針は容赦なく前へと進んでいきます。動ける時間は、無限には残されていないのです。
2. 50代から、予定は自分だけでは決められなくなる
■ 同時多発する家族のタスク
50代から60代にかけての時期は、自分自身の身体の衰えだけでなく、親や義理の両親の健康問題が一気に押し寄せてきます。
昨日まで元気に暮らしていたはずが、急に介護の段取りが必要になる事態は決して珍しいことではありません。
仕事と同じで、家庭内でも予期せぬタスクが同時多発的に発生します。
ここで誰か一人だけに負担を丸投げしてしまうと、後々大きなすれ違いを生むことになります。
日々の細かな段取りは分担しつつも、大切な節目には一緒に向き合い、情報を揃えておく姿勢が大切になります。
みけにゃん:「ネコケンさん、でも仕事も家族のことも重なったら、頭がパンクしちゃうにゃん!もっとのんびり寝てたいにゃー。」
シロ君:「ネコケンさんの言う通り、丸投げしたツケは後から情報格差として爆発するリスクを孕んでいるのです。完璧を目指さず、破綻を防ぐための最低限の共有ルールを敷くことが肝要なのです。」
おっ、わかっていますね。すべてを100点満点でこなすなんて到底できません。
ただ「同時多発は当たり前に起きる」とあらかじめ心づもりをしておくだけで、急な出来事に対する構えがまったく違ってくるものです。
3. 「定年後にゆっくり」を信用しすぎない
■ ぼく自身が予測している、これからの数年間
「仕事が一段落してから旅に出よう」「定年後にゆっくり趣味を楽しもう」という考えを、僕は手放すことにしました。
僕自身、これから先の年月を見つめたとき、家族のために自分の時間を大きく割かなければならない時期が数年間はやってくる可能性を現実的に考えています。
あるいはその前に、僕自身が思い通りに動けなくなる可能性だってあるのです。
本格的な介護や見守りが始まってから「旅行に行きたいからヘルパーさんをお願いしよう」と考えても、制度や費用の壁があり、そう簡単には家を空けられません。
だからこそ、自分の足で軽快に歩けて、行きたい場所へ足を運べる気力がある「今」という時間を、何よりも優先して掴み取らなくてはなりません。
4. 遠くへ行けない日は、和菓子ひとつでもいい
■ 日常のなかに潜む、ささやかなお楽しみ
遠出が難しいからといって、日々の楽しみまで諦める必要はありません。
僕自身、普段の楽しみの多くはパソコンやスマホに向かい、AIエージェントと一緒にLINEスタンプをコツコツ作るといった自宅の机の上で完結するものです。
そしてもうひとつ、密かに大切にしているのがデパ地下の和菓子巡りです。 京都へ行きたい気持ちはずっと抱いていますが、今は無理をするときではありません。その代わりに、週末に都内の百貨店へ立ち寄り、各地の名店の和菓子をひとつだけ買って帰ります。
「こんなに上品な甘さがあるのか」と、淹れたてのお茶とともに味わう。一週間に一品だけのささやかなひとコマですが、これだけでも日常にふっと温かな息継ぎの瞬間が生まれます。
5. 余白は、時間ができてから作るものではない
余白というのは、日々のスケジュールが暇になったから自然と生まれるものではありません。放っておけば、仕事や家族の心配事、日々の雑務でカレンダーはあっという間に埋め尽くされてしまいます。
だからこそ、忙しくなる未来が見えている今、無理やりにでも「30%の余白」を先にスケジュールへこじ開けておくのです。
そのこじ開けた隙間に、行きたかった場所への移動や、美味しいお菓子を味わう時間を滑り込ませる。この先取りの余白こそが、家族を支え、先の見えない不安を乗り切るための自分自身の防波堤になってくれます。
■ 今日から始める、たった1つのアクション
👉 「いつか時間ができたらやりたい」と後回しにしていたリストの中から、今週末にできる極小の体験(気になっていたデパ地下の菓子を1つ買う、行きたかった近所のカフェに寄るなど)を、カレンダーに今すぐ1つだけ予約する
■ あとがき
人生の後半戦は、自分の思い通りにならない出来事の連続です。パートナーの不安に寄り添い、親の老いと向き合いながら、それでも僕たちは自分自身の人生をご機嫌に生きていく必要があります。
完璧なタイミングが訪れるのを待っていては、大切な時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。今動ける身体と目の前の時間を大切に、小さな満足を先取りしていきましょう。
あなたが「いつかやりたい」と思いながら後回しにしていることはありますか。 よければコメントや返信で教えてください。 僕も、60歳からの余白の作り方をこれからも実験しながら発信していきます。
今日も程よくご機嫌にお過ごしください。
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ネコケン
著者プロフィール
ネコケン|人生に30%の余白を作るデザイナー 30年の保健師キャリアを経て、2026年に還暦を迎える現役リーダー。完璧主義の疲弊を乗り越え「AI×最新技術」で自分らしい第2の人生をデザイン中。ワクワク担当の「みけにゃん」と、哲学担当の「シロ君」と共に、心と生活を軽やかにするヒントを届けます。#50代 #ライフシフト



楽しみにしていた台湾旅行を取りやめたときの、「寂しさと、これが僕たちの世代の現実なんだという静かな納得」というくだりに、深く胸を突かれました。定年を迎えて落ち着いたら……と後回しにしているうちに、家族の健康や介護など自分の力ではどうにもならない波が一気に押し寄せてくる年代だからこそ、「時間ができたら」という言葉を過信してはいけないというお話が、痛いほど身に染みます。今動ける時間そのものを後回しにせず、大切に掴み取ろうとする決意に、静かに背中を押されました。